人造氷の功労者　堀川他作　　＜戻る＞

碑の上部分 堀川他作胸像

明治後期、金沢において夏季の納涼や保冷のための氷は、冬に天然の雪を氷室に保存しておいた貴重な「白山氷」が使われていました。

これを見た「堀川他作」は衛生的で安価な人造氷を広く普及させようと尽力しました。

他作は明治３６年(1903)から人造氷の販売を始め、明治４２年(1909)には製氷会社を創立し、その販売範囲は、北は新潟から南は敦賀にまで及びました。

その功により昭和５年(1930)他作の喜寿(77歳)を祝い、有志により他作の記念碑が金沢市野田町の桃雲寺の南に建られました。

この碑は高さが約２.５ｍあり、他作の功績を記した碑文(下記)を埋め込んだ台座の上部に彼の胸像(左上写真）が置かれています。(全景写真)

この場所は堀川家の墓所となっており、この碑は今も堀川家により代々守り継がれています。

堀川他作碑の碑文

碑の下部分 碑文（拡大写真へ）

　人(じん)造(ぞう)氷(ごおり)ニ對(たい)スル功労者(こうろうしゃ)　福井市(ふくいし)豊島上町　堀川(ほりかわ)他作(たさく)

資性温順(しせいおんじゅん)ニシテ冷静(れいせい)且(かつ)ツ事(こと)ヲ爲(な)スニ當(あたり)テ徹底(てってい)ヲ對(たい)スルノ才気(さいき)アリ。齢(よわい)四十歳(さい)ノ頃(ころ)、當(とう)金澤地方(かなざわちほう)ニ於(おい)テ盛夏(せいか)ノ候(こう)白山(はくざん)氷(ごおり)ト称(しょう)シテ天然(てんねん)ノ雪(ゆき)ヲ納凉材(のうりょうざい)トシテ飲用(いんよう)シ交(まじわ)リシヲ見(み)、烱(けい)眼(がん)ナル氏(し)ハ其(その)ノ不衛生(ふえいせい)ニシテ時代(じだい)ノ進化(しんか)ニ伴(ともな)ハザルヲ察(さつ)シ、明治(めいじ)三十六年(ねん)ノ夏(なつ)製氷(せいひょう)ノ業(ぎょう)ヲ起(おこ)シ創(はじ)メテ北陸(ほくりく)地方(ちほう)ニ人造(じんぞう)氷(こおり)ノ賣捌(うりさばき)ヲ開始(かいし)ス。地方(ちほう)ノ人士(じんし)ハ其(その)ノ清潔(せいけつ)ニシテ飲料(いんりょう)ニ適(てき)スルヲ賞讃(しょうさん)シ盛(さかん)ニ之(これ)ヲ需(もと)ム。近在(きんざい)ハ勿論(もちろん)販路(はんろ)ハ益々(ますます)廣(ひろ)マリ南(みなみ)ハ越前(えちぜん)敦賀(つるが)ヨリ北(きた)ハ越後(えちご)ノ新潟(にいがた)ニ及(およ)ビ遂(つい)ニ今日(こんにち)ノ隆盛(りゅうせい)ヲ極(きわ)ムルニ至(いた)レリ。明治(めいじ)四十二年(ねん)金澤市(かなざわし)ニ製氷(せいひょう)會社(かいしゃ)ノ創立(そうりつ)セラルヽニ當(あた)リ氏(し)ハ之(これ)ヲ輔(たす)ケ日夜(にちや)奮励(ふんれい)努力(どりょく)シテ基礎(きそ)ノ肇(はじめ)固(かたむ)ヲ訐ル。其(その)ノ獨創的(どくそうてき)才能(さいのう)ト誠實(せいじつ)勤勉(きんべん)ノ賚(たま)ラシタル功績(こうせき)ハ實(じつ)ニ千歳(せんざい)ノ亀鑑(きかん)トスルニ足(た)ル。氏(し)ハ本年(ほんねん)喜壽(きじゅ)ニ達(たつ)ス常(つね)ニ氏(し)ノ功業(こうぎょう)ヲ景仰スル有志(ゆうし)相謀(あいはか)リテ紀念(きねん)ノ碑(ひ)ヲ建立(こんりゅう)シ、以(もつ)テ永遠(えいえん)ニ之(これ)ヲ顕彰(けんしょう)ス。

昭和五年六月

銅像台座右面にある建立有志者名

金沢製氷株式會社
金沢冷蔵株式會社
金沢製氷仲買組合
福井市　藤井鶴吉
福井市　白崎常吉

　

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